プロテオミクスの専門家である Jochen Schwenk 氏は、カンファレンスの発表の中で、GPCR-RAMP の相互作用や発現レベルの研究において、同氏のチームが xMAP®テクノロジー を利用していると述べました。
Labroots 主催 2024 年 Drug Discovery & Development (創薬・医薬品開発) バーチャルイベントでは、スウェーデン王立工科大学トランスレーショナルプロテオミクス教授であり、Human Protein Atlas のリーダーである Jochen Schwenk 氏による G タンパク質共役受容体 (GPCR) の解析に関する興味深い講演がありました。
Schwenk 氏が述べているように、GPCR はヒトの健康にとってだけでなく、研究が極めて難しいという面からも極めて重要です。関連する 800 を超える受容体とともに、GPCR は多くの既存療法がターゲットにしている極めて大きな膜タンパク質ファミリーに属しています。これらのタンパク質は、免疫反応や、シグナル伝達、知覚、神経伝達といった、数多くの役割と関連付けられています。Schwenk 氏が述べているように、これらのタンパク質の半数以上が薬剤ターゲットとして検討されたことがないため、このファミリーには極めて大きな可能性が残されていると考えられます。
ただし、科学者がそのタンパク質の特性を正確に決定できなければ、その明るい見通しはすべてほとんど意味のないものになってしまいます。
挑戦を積み重ねてきた Schwenk 氏は次のように述べています:
- GPCR は脂質膜内に埋め込まれており、さまざまな手段を駆使しても安定して到達できないので、その研究は困難を極めます。
- GPCR は環境の変化に極めて敏感です。膜から取り出した時点で、立体構造が崩れるので、自然な結合パターンを研究することができません。
- GPCR は非常に相同性が高いため、それを解析する技術は、個々の GPCR を他のすべてから区別できるほど特異的である必要があります。
- GPCR は種類が非常に多いので、科学者には拡張可能なアプローチが必要になりますが、一般的に、従来の細胞ベースのアッセイでは、これらのタンパク質に関連する数百、ときに数千もの相互作用を調べることはできません。
Schwenk 氏は、汎用性があり柔軟な検査システムが必要だと提案しています。幸いにも、同氏の広範なプロテオミクスに関する専門的研究には、高い感度と特異性を誇るビーズベースのマルチプレックスシステムである Luminex の xMAP®テクノロジーを使用してきた 20 年以上にわたる研究が含まれていました。すべての反応がプレートやその他の固定基板ではなく溶液中で起こるため、GPCR はその自然な形状を維持でき、下流の結果の信頼性が高まります。
Schwenk 氏は、GPCR がその機能を変える上で多大な影響を及ぼし得るもう 1 つのタンパク質群 (受容体活性修飾タンパク質または RAMP) とどのように相互作用するのかをより深く知るためのプロジェクトで、同氏とそのチームがどのように xMAP® テクノロジーを利用したかを説明しました。GPCR と RAMP のライブラリでエピトープタグを使用することによって、受容体の発現を測定し、エピトープ提示を特定し、RAMP との相互作用の位置を測定できました。これらすべてを同じワークフローで行えたのです。
この研究は、当初デュアルエピトープタグ付き構成を用いた 25 セクレチン様 GPCR を分析するパイロットプロジェクトとして公表されましたが、最近、400 を超える抗体の特異性も確認する研究の中で 200 を上回る GPCR をカバーするために拡大しました。興味深いことに、検査した抗体の約 60% で本来のターゲットへの結合が認められましたが、これは過去の解析に基づく予測を超えていました。Schwenk 氏は、その差が生じた原因が、従来の物理的基板と比較して、溶液中で GPCR の挙動が改善されたことにあるという仮説を立てています。1/4 以上の抗体がターゲットへの作用をまったく示しませんでした。
Schwenk 氏とチームは、特定の臨床適応に対してこれらの結果がどのように重要であるかを示した 1 枚の図で、肝疾患における胆汁うっ滞によるかゆみに関連する受容体の GPCR-RAMP 結合連鎖反応を研究しました。Schwenk 氏とチームは、発現レベルを変える上で特定の RAMP が受容体と相互作用しているのを特定することを、xMAP® テクノロジーがいかにして可能にしたかを説明しました。さらに、受容体と RAMP 複合体の構造を予測するために AlphaFold ツールの深層学習にも目を向けています。
Schwenk 氏は、この研究におけるポジティブな成果は、Luminex のマルチプレックス技術によって、同氏のチームが極めて困難かつ臨床上意義のあるクラスの膜受容体の研究を行うことができ、下流の生物学において重要な役割を果たしている鍵となる相互作用を明らかにできたことだと述べました。Luminex のプラットフォームの拡張性は、GPCR のような大きなファミリーの研究だけでなく、発現レベルや抗体結合などのさまざまな特性の調査でも大いに役立ちます。
研究用です。体外診断用には使用できません。