デュアルレポーター機能によって、データ生成時間を半減
ドイツのテュービンゲン大学自然医学研究所 (NMI) は、応用研究で高い評価を受けており、シングルプレックスイムノアッセイの代わりとして早くからマルチプレックス法を採用しています。NMI の科学者らが、Luminex の新たな xMAP INTELLIFLEX™ システムがもたらしてくれる恩恵を享受するために、このシステムを世界で初めて導入したのは当然のことでした。
2021 年にシステムを導入して以来、NMI の科学者とその共同研究者らは、1 アナライトあたり 2 つのパラメーターを調べることができる xMAP INTELLIFLEX™ システム独自のデュアルレポーター機能を活かすために xMAP® アッセイの改良に取り組んできました。彼らは、『JoVE』誌の新刊の中で、マダニ媒介感染症であるライム病の原因となるボレリア菌に対する抗体を検出するデュアルレポーター血清学的検査の結果を報告しています。
xMAP INTELLIFLEX™ DR-SE システムのデュアルレポーター機能を用いた 1 アナライトあたり 2 パラメーターの測定
この論文では、ライム病はボレリア属の複数の菌によって引き起こされるので、抗体検査で感染病原体を正しく特定する重要性が強調されています。これには、ワークフローを効率化し迅速に結果を出すために、理想的には一度に多くの異なる抗原に対する抗体検査をすることが求められます。また科学者らは、IgG と IgM は病気の進行に伴って異なる時期に増加する傾向があるため、これらの抗体反応の両方を検査することが有用であることも指摘しています。
一般的に、ライム病 (ライムボレリア症とも呼ばれる) の検査は、臨床症状が認められた後に実施される血清学的アッセイに基づいています。Häring 氏らは「欧州と北米のいずれにおいても、診断ガイドラインでは、ボレリア菌特異抗原に対する抗体反応を評価するため、酵素結合免疫吸着検査法 (ELISA) と免疫ブロット法で構成される 2 段階検査を推奨しています。ただし、このアプローチは感度が劣り、特に感染初期段階では抗体陽転が不完全で抗ボレリア IgG や IgM の抗体価が低すぎるため、最適とは言えません。」と書いています。
シングルプレックスイムノアッセイに代わる方法としてのマルチプレックス法の開発
このプロジェクトにおいて、科学者らは従来の ELISA 検査の代替法としてマルチプレックスを開発しました。最初に、ボレリア菌感染に対する IgG または IgM 抗体のいずれかを検出するシングルレポーター xMAP® アッセイを設計し、その後、両アイソタイプを一度に測定できるデュアルレポーターアッセイへと組み合わせました。この検査では「欧州および北米で固有かつ最も一般的な病原性ボレリア菌種」を代表する 4 つの抗原を使用しています。「これにより、病原体の決定的な同定が可能となり、患者検体において初期の IgM 免疫反応と、その後のより持続的な IgG 免疫反応を識別するできるようになりました。」(本研究で報告されたアッセイは 4 種類の抗原を使用していますが、研究チームはその後、より包括的な解析のためにこれを 8 種類に拡張しました。 )
デュアルレポーターアッセイによる時間とリソースの節約
この研究チームは、シングルレポーターアッセイとデュアルレポーターアッセイの性能を徹底的に評価しました。デュアルレポーターアッセイでは、IgG と IgM の同時検出に使用した 2 つの抗体システム間で有意な交差反応は認められませんでした。アッセイ内およびアッセイ間の精度研究では、幅広いサンプル濃度にわたって優れた結果が得られ、高い再現性が示されました。科学者らは「このデュアルレポーターアプローチでは、シングルレポーター法の分析性能を維持しつつ、時間とリソースの節約ができ、必要なサンプルサイズを削減できました。このアッセイにより、血液サンプルから得られる血清学的情報が実質的に 2 倍になり、所要時間は半分に短縮されました。」と報告しています。
また、このアプローチは柔軟性と拡張性に優れており、マルチプレックスアッセイを 96 ウェル プレートまたは 384 ウェル プレートで実行できるため、必要に応じてハイスループットで自動化された試験を実行できる点も評価されています。さらに、科学者らは「このビーズベースのボレリア菌マルチプレックスアッセイの大きな利点は、アッセイを容易に変更または拡張し、別のボレリア菌の抗原に対する抗体など、異なるアナライトまたは追加のアナライトを評価できることです。」とも述べています。
研究用です。体外診断用には使用できません。
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